Voice Vol.1
Ai Suekane

VOICE vol.1 Ai Suekane


人物の多面的なところを、自然に見せるような芝居をできるようになりたい。


日曜の午後、稽古場に集まった劇団員達は着替えを済ませ、思い思いにストレッチ等の準備をして定刻を迎える。「そろそろ始めましょう」そんな声がどこからともなく湧いて、まずジャンケンが行なわれる。劇団Q+の稽古は、その日の最後に行う「シーン稽古※シーン稽古について」での上演順を決めることから始まる。

一度決まった順序を演出の柳本に見せる。「ここ、出番が続くから、これとこれを入れ替えて」このような微調整が入り、シーンの順番は決まる。微調整の対象になることが多いメンバーは決まっている。
末包愛だ。

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劇団Q+では男女比の関係で、女優がいくつものシーンを掛け持ちしているのが現状である。出欠の関係で、その日限りの代役(ヘルプ)に入ることもある。
その中でも、愛は掛け持ちしているシーンやヘルプの数が最も多い。ある日の稽古では4つシーン稽古を行ったのだが、その全てに愛が出ていたこともあった。彼女と演じたい、彼女がイメージに合う、彼女なら何とかしてくれる。思惑は様々だが、多くの仲間から相手役を頼まれる女優が愛である。

彼女は、そんな現状についてこのように考えている。

「たしかに2016年秋冬は、何故だかシーン稽古のヘルプするの多いですね。でも、これはすごいラッキーだと思っています。いろんな作品にふれることができて、いろんな役への挑戦ができて。やればやるだけ新しい発見がありますから。それが自分の力になっていっているのを実感しています。一度にやる作品数が多すぎてパニックになったり、失敗するときも多いんですけど(笑)。でも欲を言えば、もっと沢山やりたい。 今ちょうど、個人的に芝居エンジンがかかっているようなので、この勢いをぶつけるチャレンジの機会をもらえて嬉しいです。あとはこの勢いを持続していけるよう努力しないと、と思っています。」

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多くの役者に頼られることをチャレンジの機会と前向きにとらえる。そんな愛は、今年3月の公演に向けて新しいチャレンジをする。

脚本を手がけるのだ。

これまで劇団Q+では吉村伸が脚本を手がけていた。そこに第2のライターとして愛が加わるのだ。「今回2017年3月公演用の台本を書かせていただいているのですが、物語を書くのが久々過ぎて、まずは物書きのカンを取り戻さないと、というところ。幸い劇団Q+には吉村さんという素晴らしい先輩作家さんがいらっしゃいまして、いろいろとアドバイスをいただいて勉強させていただいています。
私は高校時代からいくつか脚本(らしきもの)を書いてはいるのですが、ずっと我流で書いていましたので、改めて教えていただくと脚本は小説等と必要な構造や要素が違うのだなと認識を新たにすることが多く……自分の感性が劇団Q+の芝居にうまくマッチするような物語を作れればと思います。」

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本人は我流と言っていたが、高校の演劇部で書いた脚本は、10年以上経った今も部に残り、レパートリーの1つとして今でも上演されている。また、Web上の脚本サイトで公開しており、時々ラジオの朗読や中高の演劇部で使われていると言うから、実力は確かなものだ。

そんな彼女が「演じる」ではなく芝居を「書く」きっかけは何だったのだろうか。

「もともと子供の頃から物語を妄想して作文するのが好きだったので、小中学生の頃から漫画や小説を書いていました。高校時代に演劇部に入り、そこでは主に役者をやっていたのですが、その延長で、台本を書き始めたのも自然な成り行きでしたね。」

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脚本という新たな挑戦をする愛。
しかし、役者としての新しいチャレンジや目標がなくなった訳ではない。

「今現在の目標は、七変化できる役者になりたいですね。それもできるだけ自然な作り込みで。 偶然なのか運命なのか、劇団Q+の本公演で、「変身する役」をいただくことが何度かありまして。最初は、「一つの作品中に複数の人物にならなきゃいけないなんて、そんな器用なことできないよー!」って慌てていたんですけど。稽古でしごかれながらやってみたら、これがとてもやり甲斐があって面白くて、ハマりました。劇団Q+の稽古とメンバーたちのおかげですね。 なので、変身じゃなくてもいいんですけど、二面性のある人物とか悪女とか詐欺師とか? 作品中でいろんな顔を見せられる役がもらえたら面白いなぁと。そして、そういう人物の多面的なところを、自然に見せるような芝居をできるようになりたいです。」

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この多面性のある役者へのアプローチとして、愛は冒頭で述べたシーン稽古で多くの役への挑戦を行っているのだ。

「シーン稽古で複数の作品・役に同時に取り組むというのは、とても良い訓練になっていると思います。短い休憩時間のうちに、気持ちを切り替えて別々の役に入り込むという感覚は、けっこうスリリングで面白いです。失敗しなければね!」愛の挑戦は劇団Q+にとっても新しいチャレンジとなる。
4年目を迎えた劇団Q+は、まだまだ変わり続ける。

あいさん

末包愛 役者/広報

  • 職業 編集者
  • 血液型 O型
  • 誕生日2月11日
  • 趣味/特技 物書き、お絵描き、カラオケ / ウルトラヒーローを応援
  • 出身 横浜市旭区
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  • 出演
  • 「ポイプロ!」「Outsider A」「ご予約の高橋様」「絵筆士のコグレ」「お茶屋のかぞく」- 劇団Q+ /「蜀漢奇人+1」「Dish! Wash! Working!」- 東海大学総合アートコビトカバ団 /「みんなでお茶を」「ハナウタ商店街へようこそ」「恋は世界をかけめぐる」「優しくさよならする方法」「楽屋」- 横浜スタイル
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  • 脚本
  • 「サボテンとボク」「雨の少年」「Curse」「サボテンのはな」「今日の議題はな~んだ?」「さくらんぼ兄弟」

※シーン稽古/メソッド演技法を軸に、キャラクターとしてのリアリティを追体験するための稽古。各自の課題に取り組むために、役者は自分で戯曲を選択しその中のワンシーンを演出家の前で演じる。主宰・柳本はそれに対しサジェッションを行い、役者と演出家が互いに役への理解を深めていく稽古。
シーン稽古で演じる戯曲は舞台・映画・ドラマ・小説等多種多様である。キャスティング、衣装、道具類も各役者が持ち寄り、本番を想定して演じる。