Voice Vol.3
Shinji Horikoshi

VOICE vol.3 Shinji Horikoshi


何年経っても、演劇の魅力は尽きません!


公演直前の稽古場はいつもよりも賑やかである。役者だけでなく、公演当日入るスタッフも見学を兼ねた準備のため稽古場に来ているからだ。

普段居ない見学者と目前に迫った本番に、役者たちの稽古にも力が入る。そして、本番目前ともなれば休憩時間も常に誰かが動き回っている。

公演間近の稽古に休み時間はない。

もちろん本番をひかえた役者の身体や喉を休ませる時間は必要で、その時間は確保されている。 しかし、その休憩時間中にもやらなくてはいけないことは沢山ある。指摘された演技のチェックはもちろんだが、他にも集客状況や当日配布物のチェック、衣装のチェック、メイクのチェック、小道具のチェック、そして照明・音響の打ち合わせがある。
劇団Q+ではスタッフワークのほとんどを出演する役者自身が兼任しているので、この空き時間で行うチェック作業が重要になってくる。
しかし、どうしても出演する役者が兼任出来ない仕事がある。

音響と照明だ。

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主宰お気に入り写真「Outsider A パンフ撮影前メイク中」/ 撮影:堀越新治

これらは出演している役者がコントロールすることは不可能なので、当日は専門のオペレーターが必要になる。音響は当日出演しない役者や、演出の柳本が自ら行うこともある。しかし、照明だけは専任スタッフの堀越新治が担当している。
新治さんはスタッフとして劇団Q+の初公演から参加している。ほとんどのメンバーが劇団のウェブサイトやSNSでの募集から集まった劇団Q+だが、新治さんの場合は他の劇団員とは全く異なる経緯で劇団Q+に参加している。

「友人であり仕事仲間である吉村伸が、劇団Q+の旗揚げに参加した時、応援かたがたお手伝いをさせていただいた事がそもそもの始まりです。」その縁が気づけば数年、今では劇団Q+のなくてはならない仲間の一人だ。

新治さんは本番の照明関係を一手に担っている。

「照明はプランニングを行うプランナーと機材を扱うオペレーターの仕事に分かれますが、劇団Q+では両方に携わっています。小屋入り前に演出家のイメージに沿った照明計画を考え仕込図を作り、小屋入りしてから器具の吊り込みや配線など機材をセッティングして、本番当日に照明機材を操作します。
今までは小劇場での公演でしたが、規模は小さいとは言え全てを一人でこなす事は難しく、専門家のご指導を頂きながら劇団員と共に準備を進めてきました。
如何に演出家の頭の中にあるイメージを舞台上に再現するか。とても重要で大変な役割ですが、同時にやり甲斐のある楽しいスタッフワークでもあります。」

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主宰お気に入り写真「ポイプロ!本番前控室にて」/ 撮影:堀越新治

照明は劇場に入らないと実物のライトに触れることができないため、限りなく本番一発勝負に近く、そのプレッシャーは計り知れない。

そんな中でも、印象的なライティングがある。

「今までで一番印象に残った照明は、第2回本公演『絵筆士のコグレ』で、サイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」の曲が流れる中、コグレが命懸けで壁一面に大きなオレンジ色の太陽をライブで描くシーン。息子の運命を変えようとする母とそれを止めるルグリがもみ合う中、子供は川に落ちてしまう…音と光と台詞がパチッと合った時の気持ち良さは忘れられません!」

本番直前ともなれば、照明の打ち合わせやシミュレーションのため毎週稽古場に顔を出さねばならないが、新治さんは通常稽古の時も月に1~2回ほど稽古場を訪れる。
それは劇団Q+での新治さんにはもう一つの顔があるからだ。
新治さんのもう一つの顔は、普段の稽古風景を撮影するカメラマンである。

「平日は主に事務仕事をしていますが、最近はその傍ら劇団Q+の稽古風景や、ご縁があって他劇団の舞台スチールなどを撮らせていただいています。撮れば撮るほど難しさを感じる写真撮影ですが、幸い主宰が撮影に詳しいので、機会ある度に手解きを受け、日々カメラと格闘しています。」

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主宰お気に入り写真「お茶屋のかぞくチラシ撮影中」 / 撮影:堀越新治

2つの顔で劇団Q+に関わる新治さんだが、演劇というものに深く関わるようになったのは劇団Q+が初めてなのだ。

「今までは「観る専門」の人で、演技を習ったことも役者として自分を表現したいと考えた事もありません。裏方も劇団Q+が初めてです。
脚本の書き始めから公演が終わるまでの舞台裏を見る事ができて、一つの芝居を完成させる現場に自分も参加でき、作る楽しさを味わえて幸せだなと思います。何年経っても、演劇の魅力は尽きません!」

芝居を作る側としては他の役者と余りキャリアは変わらないが、見る側としての経験は誰よりも豊富な方だ。

「初めての観劇は、知り合いに誘われ1985年12月8日に行った、下北沢 OFFOFF シアターで上演されていた、ニールサイモンの『裸足で散歩』でした。実はこれ、本邦初演だったらしくて、そんな歴史的な舞台を観ていたのかと今になって驚いています。当時は "下北沢 ロングラン・シアター"と言う名前で、長椅子に詰めて座る時代の小劇場でした。
『シャンマシャンマエマルケシャンマ』と歌いながら役者さんが陽気に舞台を舞う姿を、今でも鮮やかに覚えています。 その後は小劇場の魅力に惹かれ『夢の遊眠社』の舞台を好んで見ていました。ミュージカルやバレエ・オペラ・クラッシックコンサート、落語も好きです。 振り返ってみると、演劇だけでざっと数えて 100ステージを越えていました。自分でもビックリです!」

豊富な観劇経験と、役者とは異なる視点で劇団Q+に関わり、時にカメラマンとして最も近い場所で客観的に見てきた新治さんに、今の劇団Q+はどう映るのだろうか。

「社会人劇団の宿命『稽古時間が少ない』そんな状況で、劇団Q+の主宰が掲げる『本気で芝居をやりたい社会人のための劇団』と言う思いが徐々に浸透し、役者一人一人の『本気度』がかなり高くなってきたと感じています。
一方で、ワークショップなどを通して新たに入団した新人達の『本気度』も、設立メンバーにけっして負けてはいないと感じています。みんなお芝居が好きなんですね。
裏方なので役者とは立場は違いますが、そんな劇団員を応援したくて照明も写真撮影もみんなに負けじと真剣に取り組んでいます。 ただひたすらに『魅せる舞台表現』を追い求める主宰の元、メンバーの本気によって進化し続けて行くであろうこれからの劇団Q+に、期待は『超特大』です!」

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お気に入りの一枚

最後に、カメラマンとして新治さんにとっておきの一枚をあげてもらった。それは数千枚はある写真の中から少し意外だが、新治さんが劇団Q+に何を見ているのか非常によく解るシーンであった。

「『Outsider A』で、森の住人であるガレ達の前に村の少年マモルが初めて姿を見せたシーン。この写真は稽古中のもので、特に写真として優れたものでもないんですが、Q+のチームワークみたいなものが感じられて気に入っています。」

堀越新治 / 社会人演劇集団「劇団Q+」

堀越新治 照明 / スチール ( 2014年入団 )

  • 職業 自営
  • 血液型 A型
  • 誕生日6月12日
  • 趣味 / 特技 観劇・海外ドラマ鑑賞 / すぐ馴染む
  • 出身 東京都
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  • 照明
  • 「アイノカタチ」「ポイプロ!」「Outsider A」「ご予約の高橋様」「絵筆士のコグレ」「お茶屋のかぞく」- 劇団Q+